ささやかなお祝いごとがあり、数カ月ぶりに近所の焼肉レストランに行った。まず入り口で靴底の消毒、席につくとすぐに手の消毒、カウンターとは透明のビニールで隔離、お店の方々は手袋とマスク、透明のシールドをつけて重装備。お客さまも使い捨ての黒いエプロンを着用しているので個性は分からない。昔アニメか何かで見た宇宙のレストランを思い出した。未来の外食のスタイルは遠からずこんな形なのかもしれない。
今回の騒ぎが私たちの生活に及ぼした影響は大きい。コロナだけでなく、さまざまなウイルスや病原菌はどこにでもいる。都市部の人口密度の高さから言っても、国を超えての人々の自由な移動から見ても、衛生管理の見直しは急務である。今はみな神経質になり、多少「やりすぎ」感がないでもないが、これからの生活には必要な意識だろう。
私たち家族は久しぶりの外食を選択したが、予約して料理を持ち帰るお客さまも多く、ステイホームの意識が定着したことも実感した。外食産業のご苦労は察して余りあるものがあるが、全ての食事を家で賄うことも簡単ではない。外食に対して家で作って食べることを「内食」、テイクアウトや既成の弁当は「中食」という。家族みんなが働く時代の「内食」は「中食」の上手な利用なくしてはありえないだろう。
だが調理に時間がかけられないことに罪悪感を持つことはない。器や盛り付けを工夫して食卓はいつもホッと一息つける場であってほしい。(生活デザイナー)