ハーブを再び育てはじめたことをこの欄に書いたのはつい先日のことだ。まだ2週間程度の庭仕事だが、どの苗もすくすく育ち、今日は写真のような一皿を仕事仲間とのランチに作った。
小さく切って焼いたサケのムニエルにはディルの若い葉を添えた。ベーコンとソーセージにはローズマリーとセージを。カボチャのカレー風味のサラダにはイタリアンパセリ、キノコのマリネにはコリアンダー、アボカドとトマトのサラダにはバジル、インゲンのピーナツ和えにはチャイブ、デザートには2種類のミントを添えた。
冷蔵庫にあった素材を焼くだけ、茹でるだけ、並べるだけでも、香りの力を借りると何となくサマになる。嗅覚に加えて視覚的も、さまざまな緑がおいしそうに見せてくれるからうれしい。それだけではない。塩分はグンと抑えられる。庭で育ったハーブはどれも香りが強いので小さい葉で十分である。ひと鉢育てるだけでかなり楽しめるのだ。
私にしつこく勧められた友人たちは、マンションの窓辺にハーブの鉢をいくつか並べて皆楽しんでいる。調味程度の小さな葉に薬効を期待するのは難しいと思う。だが五感は間違いなく想像以上に刺激されて食事時間は確かに豊かになる。繁茂するレモンバームの葉はたっぷりポットに入れて熱湯を注ぐと最高のハーブティーになる。北国の緑の季節は短い。さまざまな香りを楽しみたいと思う。(生活デザイナー)