(荒井三津子さん・暮らしのパレット)「古きを守る」

 作詞家の松本隆さんがある番組で話していた言葉が心に残った。と言っても「古いモノは意識的に守らなければいけない」という、特に新しい知見ではない。だが京都に暮らす中で語られた言葉には重みがあった。
 最近、近所で趣のある洋館が何軒かあっという間に取り壊されたこともあり、何かを残すには大変なエネルギーが必要なのだと考えていた時だった。松本さんがおっしゃる古いモノには良いモノも含まれているようだ。多忙を極めた生活を見直し、歌舞伎やオペラ、バレエなどに時間をつかう数年を過ごされたとのこと。普通の人にはできないぜいたくだが、その長いブランクの後、松本さんにしか書けない歌詞がたくさん生まれたという。経済力あればこそではあるが、古き良きモノに触れることは絶対に人を豊かにする。
 最近は写真のような白い食器が大人気である。百円均一の店にもかわいいものがたくさんある。いつの間にかそれらが現代的でおしゃれな器として市民権を得てしまった。壊れても惜しくないので大切にする必要もない。安いのであれこれ買うと収納場所がなくなる。それなら流行遅れの古い食器は処分しよう。それが昨今の考え方だろう。
 古いモノがすべて良いとは言わないが、建造物も美術工芸も舞台芸術も、意識して守っていかなければ私たちの生活は無味乾燥なものになるに違いない。安い食器とは違う。二度と手に入らない。それを文化と言う。(生活デザイナー)

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