「継続は力なり」とはよく言われることだが、何かを長く続けてきた人たちがこのごろキラキラして見える。
その代表がW氏。43歳の国際政治学者である。10歳でピアノを始めたというから早いスタートではない。だが熱中してピアニストになりたいと切望するも、諸事情を考えて高校進学時に断念したという。
ふとした縁で今年からレッスンを再開。先日、発表会があった。時折遊びに来ては弾いてくれていたが、彼のショパンは多くの人の心を打つものだった。
そして、もう一人は私の教室で花や料理を学んでくれているKさん。40歳で某社の役員を務める多忙な日々にもかかわらず、幼稚園時代から日本舞踊の稽古は休むことなく続け、この秋も素晴らしい舞台を見せてくれた。
この二人を特別優雅な人だと見るのは間違いだ。時間はみんなに平等である。彼らは気持ちを上手に切り替えて趣味を日々のエネルギーに替えることができるのだろう。自分に厳しく、しかし、義務や重荷には思わず、着々と力をつけてきたのだと思う。
そして、その継続力と達成感の積み重ねが責任の大きい仕事をするようになった今、役立っているのではないだろうか。うらやましい限りである。
だがしかし、何でも続ければ良いというわけではない。人間関係でも学校や職場でも、身も心も壊れてしまうほど頑張ってはいけない。間違った選択も世の中にはたくさんある。潔く撤退する勇気も大切なのだ。ああ人生は難しい。(生活デザイナー)