何事も予定通りには行かない。定年後は少しは優雅な生活ができるのではないかと思っていたが、とんでもなかった。アリとキリギリスの逸話もよぎる。幾度かの転居もあり、親の病気や介護もあり、子供たちの教育もあった。
とはいえ、もう少し計画的に暮らせば良かったと夫婦で溜め息の秋。「準備万端でも思うようにはならないよ」と慰めてくれる人もある。人生はそんなものかもしれない。そう思うことにした。いやそう思うしかなかろう。
そもそもこの秋、7歳違いの娘たちが遅ればせながら大学院で猛勉強を始めるなど親としては想像もしなかった。しかも長女は休職してイギリスだと。私自身も42歳で学生に戻ったことを思えば文句は言えない。働きながら頑張っているのだから応援したい。すでに細くなったスネでもまだかじる所があるなら親としては喜ぶべきか。
93歳の私の母は元気に同居している。深く考えずに飼い始めた大型犬も9歳で衰えをしらない。どの現実も必然のような気がしてくる。必然といえば、家が古くなることこそ想定して修繕の準備をしておくべきだった。
中古で購入した家も築20年ともなると雨漏りや窓枠の老朽化で大掛かりな修理が必要になった。たくさんの窓が気に入っていたのだが、その窓枠の交換だけで卒倒しそうな見積書がきた。顔面蒼白で再検討中である。
政治もしかり。突然の解散を機に見せる政治家たちの右往左往はどうしたものか。事程左様(ことほどさよう)に良くも悪くも何事も予定通りにはいかない。(生活デザイナー)