毎年、お節句や誕生日には札幌の家の近くの店にケーキを注文する。シフォンケーキが有名な老舗だが、バタークリームのデコレーションケーキは天下一品だと私は思っている。
いつのまにか生クリームのケーキが王道を歩くようになったが、私はほんのりクリーム色の、絞り後がしっかり残るバタークリームのケーキが好きだ。だが先日、飲食業の方々とケーキの話しをしていた時、バタークリームは昔っぽいとみんなに言われてがっかりした。
昔っぽいとは何事か。それぞれに良さがあろう。しかし考えてみれば、お菓子の世界の流行の移り変わりは、ファッション業界さながらである。チーズケーキが店頭に並びはじめたころ、どこの店が美味しいかすぐに話題になった。パンナコッタ、ナタデココと次々に新しい食材が登場し、今はレトロ感のあるロールケーキが台頭している。苺大福は和菓子の新人だったはずだが堂々とした市民権を得て久しい。
盛り付けにも流行がある。西洋料理は大胆に盛りつけることが多かったが、今はどこも大きなお皿にほんの少し盛りつける。素材をうずたかく盛ったり、ソースの流し方を工夫したり、立体的な絵画のように盛る。空間の方が多い。一説では日本の影響だとも言われるがどうなのだろうか。
食器は白、写真は真上から撮るのが主流。お菓子だけでなく、食の世界の移ろいは速い。ちょっと待て、と言いたくなってきた。(生活デザイナー)