ベコモチの研究家として取材を受けた。それに先立って、かつて2本書いた論文と集めた資料を見直して、あらためてベコモチの面白さに心躍った。
下北(青森)にもベコモチはあるが、それは切り口がカラフルで美しいかまぼこ状のもので、北海道で広く見られるものとは外見も作り方も違いすぎる。なぜ北海道には木の葉型のベコモチが生まれたのだろうか。函館から小樽近辺までの日本海側には黒一色のものがある。ベコモチは白と黒のまだらが多いが、さてどちらが先か。岩内には雀型や花型なども古くから作られているのに、なぜ木の葉型だけが広まったのか。
そもそも木型を使うか手で形成するかは、単に木型の有無の問題だったのか。木の葉型でも、笹を模した並行脈もあれば桜の葉のような葉脈もある。火の通りがよくなるように切り込みを入れたのが木の葉型の起源ではないかという説もあった。丸めた団子をつぶしたのが始まりなら木型は不要だっただろう。
黒砂糖を使ってベコモチにすれば古い米もおいしく食べられたという人もいれば、ベコモチには上等の米を使うと力説する人も多かった。ベコモチという名の由来も①白と黒のホルスタイン説②茶色い和牛説③べっ甲説④ベロ(舌)説⑤米粉(べいこ)説-などあっても正解はなぞのまま。
そもそもベコモチは節句のお菓子か、法事の菓子か、子どものおやつか、携帯食か。どうであれベコモチは北海道のソウルフードであることは間違いない。(生活デザイナー)