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(荒井三津子さん・暮らしのパレット)「日本の食卓その1」

 日本の食卓について海外で話をする機会を得た。いつも通りでいいと言われて気軽に引き受けたが、早計だったかもしれない。
 器の種類、素材の切り方、盛り付け方法を紹介するだけなら写真をお見せすればよい。だが、西洋の皿はほとんどがサイズ違いの円形なのに、日本の器は扇形、瓢(ひさご)型、木の葉型、紅葉型、桜型など多種多様で、脚付き、柄付きと収納が面倒なものばかり。盛り付けには余白が大切だが、おせち料理は縁起モノを重箱にびっしり詰める。そもそも西洋の器にはない「黒」を漆器として重宝し、赤と金色を組み合わせたのはなぜか…など、一つ一つの説明は日本語でも簡単ではない。
 ライフスタイルが西洋化したとはいえ、日本人なら和室や床の間を知っている。神社仏閣の絶妙な「間」の心地よさも経験しているはずだ。キモノの柄も見慣れているだろうし、どこかで生け花にも触れているだろう。だがそんな背景のない人たちに、日本の食器や盛り付け、切り方の複雑さや美意識を説明するのは至難の技だろう。
 そもそも、なぜ日本の食卓はこんなに視覚重視になったのだろうか。日ごろ大学では自著を使って説明していることなのだが、日本の文化について基礎知識や体験のない人たちに伝えるとなると、話は別だと気がついた。
 英訳すれば済むことではなかった。理解しているつもりだった日本人の美意識を今一度掘り下げてみる必要がありそうだ。目下受験生のように古い書物と格闘している。さて、間に合うか。(生活デザイナー)

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