夫と長女の仕事に同行して、上海に行ってきた。中国の食卓調査のスタートには良い機会だった。人口は2400万人を越え、中国最大の都市である。
上海センタービルは128階で世界第2位の高さだとか。目を見張るほどの高層ビルが林立している。そのビル群の中には明朝時代からの古い庭園やヨーロッパを思わせる古い街並がそのまま残っている。
古今東西が混在する魅力的な都市だが、今回の旅は北大の留学生だったウーさんがいなければ成り立たなかった。英語が通じない。ホテルでもデパートでも、なんと空港でも大苦労。ウーさんなしでは買い物も食事も難しかった。義務教育を終えているならもう少し何とかならないかと思ってみたが、「日本も同じだ」と長女に言われた。
確かに海外からの観光客の質問を理解して適確に答えられる日本人はまだ少ないかもしれない。だが、私たちの接客は比べられないくらい上である。言葉が分からなくても笑顔で接し、なんとか理解しようとするだろう。客を無視して仲間とおしゃべりしつづけたり、理解する努力をしないなどあり得ない。
上海は急速に都市化したが、住む人たちの意識と行動の都市化は追いついていないということか。来て良かった、また来たいと思わせるのは迎える側の笑顔と温かい接客に尽きる。ウーさんが通訳をしてくれるなら私はまた上海に行く。ウーさんに会いに上海に行きたい。観光の最大の資源はそこに住む人なのだと今しみじみ思っている。(生活デザイナー)