函館市産業支援センター内に昨年開設したIT企業「AIハヤブサ」で、初の新卒エンジニアとして採用された。ミラック光学(東京)の村松洋明社長とAI(人工知能)研究の第一人者で公立はこだて未来大学の松原仁教授が立ち上げたベンチャー企業で、即戦力として期待を背負う。「今までやってきた(AI分野の)研究を続けたいという思いがあった」と話す。
滝川市出身。未来大の大学院を修了した。松原研究室では、対話システムや画像解析などAI開発に必要な知識を広く習得した。「もともとは勉強嫌い。研究でやりたいことを実現したり、自分なりの答えを作り出すために必要な知識を身につけることが面白くなってしまって」と話す。
開発に携わるのは、AIを利用した画像検査システムのソフトウェア。既存の画像処理による製品検査では、良品か否かを判断する基準にグレーゾーンが存在する。AIを活用することでその幅を狭めて、より高精度の検出結果を導くシステムの研究に取り組んでいる。
入社後まもなく、東京ビッグサイトで開かれた「AI・人工知能EXPO」にも参加し、来場者が抱える課題について直接、話を聞くことができた。連休明けには海外に渡り、1カ月間の研修が待っている。村松社長は「かわいい子には旅をさせろではないが、海外のエンジニアの考えに学ぶこともあるだろう。たくましくなってきてほしい」と期待する。
開発者の立場で未来大にも足を運ぶ。「まだまだ先生方から勉強させてもらう身。大学が近くにあるのは刺激になる」とし、「技術者として採用されたからには、成果を公表したり、売れるものをつくっていきたい」と意欲も燃やす。(今井正一)