26日で北海道新幹線開業から1カ月を迎えた。新函館北斗駅の商業施設や1月にオープンした道の駅「みそぎの郷きこない」には、旅行客や地元住民が多数訪れにぎわいを見せている一方で、函館市内の飲食、宿泊施設の関係者はまだ開業効果を実感できないとする声が多く、大型連休以降の需要増に期待を寄せている。
土日を中心に地域の家族連れらでにぎわう新函館北斗駅。新幹線車両が気軽に見学でき、飲食や買い物も楽しめることから人気のスポットとなりつつある。
同駅併設の北斗市観光交流センター内のアンテナショップ「ほっとマルシェおがーる」の渡辺正憲店長は「地域の方々にも多く来店してもらい、1カ月間の売り上げは想定の2倍以上。季節に応じて商品を入れ替え、リピーターを増やせるよう工夫したい」と意気込む。
みそぎの郷きこないは、オープンから約3カ月で来場者11万人を突破。町の年間観光客数7万人を優に超すほど、新たな観光スポットとして滑り出しは好調だ。
同施設の一日平均来場者数をみると、1~3月は974人、4月1~24日は1428人と、新幹線開業後はより多くの集客が図れていることがわかる。浅利文博センター長は「口コミによるリピーターが増えた。道内のみならず、東北や関東からの旅行客も目立つ」と手応えを示している。
ただ、開業1カ月間の道南は観光閑散期ということもあり、大幅な観光客の入り込みにはつながっていない。函館市松風町の屋台村、大門横丁は開業日に恒例の飲み歩きイベント「大門バル」を開催。当日は大勢の人でにぎわったが、ある店の店主は「4月に入ると例年通りの数字。新幹線で観光に訪れたという人も思っていたより少ない」とこぼす。
大型連休期間は例年、函館市内の主要ホテルは満室となることから、宿泊施設の関係者は5月以降の予約状況を注視している。ホテルネッツ函館(本町)の三上博支配人は「宿泊単価の上昇で売り上げは20%伸びているが、宿泊客の増加数はまだ期待以下。ただ、連休後の団体予約数は例年以上で、明るい材料も見えてきている」としている。(山田大輔、斎藤彩伽、金子真人)