ホーランド・アメリカ・ライン(米)社のクルーズ客船「ウエステルダム」(8万2862トン)が11日、函館港若松埠頭(ふとう)に入港し、今年度のクルーズシーズンが幕開けした。欧米豪を中心とした乗客乗員約2700人が春を迎えた函館に足を踏み入れ、観光やグルメを楽しんだ。今年度函館港に入港するクルーズ客船は過去最多の58回で、経済波及効果が期待される。
ウエステルダムは昨年10月以来の函館寄港で、今年度は3回の入港予定がある。3月30日から4月13日まで横浜発着の船旅で、神戸、高知、広島、韓国(釜山)、境港、富山、酒田、小樽を周遊し、函館に到着。乗客1924人と乗員772人を乗せ、午前7時10分ごろ接岸した。
函館クルーズターミナルでは、観光関連事業者でつくる「箱館会」の渡部十月哉幹事長らが歓迎の横断幕を手に、入国審査を終えた乗客を笑顔で出迎えた。函館観光イメージキャラクターの「エキゾーくん」も駆け付け、乗客はもてなしに喜び記念撮影を楽しんだ。
屋外では約10台の観光ツアーバスが並び、函館朝市や函館山ロープウェイなどへ向かった。個人で目当てのスポットへ繰り出す人もおり、午後11時の出港まで思い思いの時間を過ごしている。愛知県から夫妻で訪れた元エンジニアの森浩三さん(76)は「函館は4回目。松前にサクラを見に行ってみたい」と笑顔を見せた。
今年度は「セブンシーズ・エクスプローラー」(16日)など9隻が初入港するほか、若松、港町両埠頭への同日寄港が3回予定されている(5月24日、9月21日、10月4日)。アラスカクルーズを行う「セレブリティ・ミレニアム」が日本に長期滞在し、11回寄港する。(竹田 亘)