今季の道南スルメイカ漁が1月末で終了し、函館市水産物地方卸売市場での生鮮スルメイカ取扱量(昨年6月~今年1月末)は、前年比12%(55トン)増の491トンとなり、統計の残る2005年以降で20年(436トン)に次いで2番目に少なかった。1キロ平均単価も新型コロナウイルスの影響で飲食店やホテルでの需要が減退して伸びず、同11%(89円)安の747円だった。前年の数量をわずかに上回ったものの、依然として低水準となっている。
市農林水産部がまとめた水産市場での生鮮スルメイカ取扱量は、05年以降で過去最低だった20年の436トンをかろうじて上回った。単価は747円で、取扱金額は前年とほぼ同額の3億6655万円。同部は「通年でみると、厳しい結果に変わりはない。取扱量は16年以降が特に厳しく、19~21年は一段と厳しさが増した。コロナが早く収まって単価だけでも回復してほしい」と願う。
1月単月の取扱量は0・25トン(21万円)しかなく、入荷があったのは7日のみ。前年は4日間だった。事実上、漁は12月末で終了し、1月上旬には完全に切り上げたという。
今季を通年でみると、単月の水揚げが最も多かったのは10月の136トン。前年の数量を上回ったのは7月(113トン)、8月(107トン)、10月(136トン)、11月(55トン)で、盛り上がりに欠けたシーズンとなった。
函館頭足類科学研究所の桜井泰憲所長(北大名誉教授)は「秋生まれ群は、対馬暖流に乗って津軽海峡に来遊するイカが少なかった。それは資源量が減ったままで、回遊経路も大陸寄りになったためと考えられる。冬生まれ群は、16年以降の産卵場の縮小や黒潮大蛇行が続いており、太平洋を北上するイカが少なかった。すぐに漁獲が復活するとは思えないが、秋生まれ群の子どもの生き残りが増え、来遊経路の変更があれば、日本海側の漁獲に復活の兆しが見えるだろう」と話している。(山崎大和)