性暴力被害に遭った人を救援支援する性暴力被害対応チーム「函館・道南SART(サート)」で、函館市が今年度から新たに開設した専用窓口への相談件数は、4~9月で計89件だったことが分かった。委託先のNPO法人ウィメンズネット函館が、2017年度に扱った女性相談全般(22件)を大幅に上回るペースで推移。性被害に特化した相談窓口ができたことや、警察との連携がスムーズに進んだことが背景にあるとみられる。
市は、性暴力の被害者を被害直後から中長期にわたって支援する相談窓口を4月に設置。9月末までに寄せられた相談件数の内訳は新規が18件、再相談が71件だった。全体89件のうち、病院での診察・治療が必要な「急性期」は5件に上った。相談内容は強制わいせつが52件と最多で、強制性交が20件、盗撮などの撮影が11件、DV(ドメスティック・バイオレンス、配偶者からの暴力)が5件、性的虐待が1件の順。
年代は10代が36件、20代が19件、30代が23件と30代以下が9割近くを占める。被害時の年代も同じで、性犯罪の被害者は時間がたってから申告するケースもあるが、サートは被害者全員が時間を置かずに相談している。
加害者との関係は、学校関係が33件と最も多く、次いで知人が18人、配偶者が16件、交際相手が5件、職場関係が3件、家族が1件、その他が13件。無面識ではなく、関係が近い人が多いことが分かった。
支援内容(重複あり)では、傾聴・情報提供が68件、警察や病院など付き添い支援が16件、弁護士相談が9件など。被害者の居住地は、函館市内(80件)がほとんどだった。
サートは、道南の医師会や警察、函館市などで構成する「函館性暴力被害防止対策協議会」が立ち上げ、リーフレットを配るなど周知を進めている。市子育て支援課は「リアルタイムな相談が100%で、ウィメンズネット、警察、市立函館病院、弁護士の連携がうまくいった。ノウハウを積み重ね、適切な対応につなげたい」としている。
相談専用ダイヤルは(0138・85・8825)。平日の午前10時~午後5時。(山崎大和)