函館市がふるさと納税の使途に加えた「大間原発の建設凍結のために」に寄せられた寄付金が、昨年度で1333件、入金額が3880万6064円(いずれも速報値)だったことが分かった。件数でふるさと納税全体の31%、金額で23%に上り、あらためて市が提起した建設差し止め訴訟への関心の高さが浮き彫りになっている。
市は2014年4月、国と事業者の電源開発(東京)を相手取り、大間原発の建設差し止め訴訟を東京地裁に起こした。今年2月までに計15回の口頭弁論が行われた。市は昨年4月から、ふるさと納税を使い、訴訟費用に充てる取り組みをスタート。工藤寿樹市長が使途のメニューに追加するよう指示した。
全体では、4210件、1億6909万411円の寄付が集まった。4月に170品目の返礼品を設定しリニューアルした効果もあって、前年度より14倍もの多額の寄付が寄せられた。使途は全部で6つあり、昨年度件数、金額とも最も指定が多かったのが「函館市全体のために」(件数32%、金額41%)で、大間は2位となった。
市総務部によると、大間原発訴訟をめぐっては一般の寄付金とふるさと納税を合わせた約9500万円を基金に積み立て、弁護士費用や旅費、鑑定意見書の作成料などに充てる。これまでの訴訟費用の累計は約4600万円になるという。
同部は「お金を集めるよりも、もう一度訴訟への関心を高めたいという市長の思いが多くの寄付につながった。大間を止めたいという市の考えに共感してもらい、心強い」としている。(山崎大和)