函館市は13日、2018年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初予算比1・6%減の1349億9000万円で、2年ぶりに減額。市税や地方交付税の落ち込みなどによる財源不足を補うため、17年度と同様に減債基金5億円を繰り入れる。重点施策には子どもの貧困対策や人手不足解消など3点を掲げ、必要な経費を盛り込んだ。予算案は22日開会予定の定例市議会に提出する。
重点的な取り組みのうち、子どもの貧困対策には4億6300万円を計上。ひとり親家庭の学習支援事業費として160万円を新たに盛り込むとともに、新設する給付型奨学金には368万円を確保した。
人材育成に関する総額は1億400万円。研修費用の一部を負担して介護人材を確保するほか、創業支援やIT技術者の養成など「人づくり」にも目を向ける。
「ポスト新幹線時代」に関する取り組みには9億3000万円を盛り込んだ。末広地区の緑地や函館山遊歩道の整備をはじめとした「ガーデンシティ函館」などを推進する。
歳出の項目別では扶助費が同2・5%増の427億1200万円で、社会保障費の負担増が要因。人件費は同3・0%減の173億3400万円。退職手当の減額に伴い支出が減った。経常費は既存事業などを見直し、同1・0%減の138億2800万円に圧縮した。
歳入は、前年度比21億3000万円の減少。全体の約4分の1を占める地方交付税が同1・2%減の372億300万円。市税は同0・5%減の315億4500万円で2年ぶりに減った。一方、地方消費税交付金は「宿泊、飲食が好調」(市財務部)なことから、同10・8%増の53億8030万円と伸びた。
財政調整基金と減債基金の残高は約50億6900万円。2年連続で基金取り崩しとなったことに関し、工藤寿樹市長は「(繰り入れをせずに)組めないことはないが、手に負えず(財政が)どんどん悪化する可能性がある。財政が厳しいと認識してもらうことが必要だ」と述べた上で「5億円程度であれば、決算で最終的にプライマリーバランス(基礎的財政収支)は取れる」との見方を示した。
9特別会計と4企業会計を合わせた総額は、同2・6%減の2630億300万円となる。(山田大輔)