函館ハリストス正教会(元町3)は、現在の復活聖堂が築造されて今年で100年を迎えたことを受けて、26日に記念行事を行う。同正教会のニコライ・ドミートリエフ長司祭は「記念行事を通して教会の価値を発信したい」としている。
同正教会は日本最古のロシア正教会として知られ、国の重要文化財に指定されている。函館が貿易港として開港した翌年の1860(万延元)年に初代領事ゴシケービッチが建てた礼拝堂が同教会の前身。
1907年(明治40)年の函館大火で最初に建てた建物は焼失し、9年後の16(大正5)年に現聖堂が建築された。83年に国の重要文化財に指定され、88年には老朽化した建物を国から約2億円の補助を受けて大改修した。
中の聖堂は聖像(イコン)を多数はめ込んだ壁が広がり、荘厳な空間をつくり出している。大小6つの鐘は環境省の「日本の音風景百選」に認定され、異国情緒の街・函館を代表する建築物として人気のスポットにもなっている。
記念行事は午前9時から同正教会で、聖体礼儀・感謝祈祷が行われる。信徒ら約100人が参列する予定で、道内、東北管轄する日本ハリストス正教会東日本主教教区のセラフィム大主教座下の司祷により執り行われる。午後1時からは五島軒本店で記念レセプションが行われる。
ニコライ長司祭は「正教会は函館、日本の宝だと思っている。老朽化で維持管理に苦慮しているが、市民の協力を得たり、行政側の助言や指導を受けながら、正しい形で守り続けていきたい」と誓いを新たにしている。(鈴木 潤)