新型コロナウイルス感染対策の緊急事態宣言が解除され、最初の週末となった2日、函館市内では観光を楽しむ行楽客の姿が見られた。解除直後ということもあり、コロナ以前のにぎわいは戻っておらず、今後の入り込み回復に期待がかかる。(飯尾遼太、海老田暁)
〇…市末広町の金森赤レンガ倉庫では修学旅行生や家族連れを中心に訪れ、倉庫内の物販店では観光客らが買い物やグルメを楽しんでいた。家族5人で訪れた江別市の主婦、佐々木靖恵さん(45)は「車で来られる近場の観光地として函館に来た。車移動は家族以外との接触はなく安心できる。今回は函館山からの夜景を見るのが楽しみです」と話していた。
ベイエリアでは多くの人通りが見られ、倉庫を運営する金森商船営業部企画広報課の片岡真悟さん(50)は「1日から修学旅行生が多く、宣言期間中よりは人出があるが、コロナ前の同時期ほどではない。今後の感染状況次第だが、過度な期待はせず、安全に楽しんでもらえるよう準備しておきたい」と話した。
函館朝市でも人流回復の傾向がみられ、「信幸どんぶり屋」など3店舗を経営する佐藤義信代表(73)は「お客さんが一気に増えることはないが、宣言中とは人の動きが違う。ワクチン接種も進んでいるので、徐々に観光客が増え、経済が動き出してくれれば」と期待した。
○…7月下旬に一般公開を開始した史跡垣ノ島遺跡(臼尻町)には世界遺産に登録された遺跡を一目見ようと、道内や本州からの来訪者が目立った。同遺跡スタッフは毎日3回の定時解説のほか、来場者の求めに応じ、随時ガイドを行った。妻と訪れた札幌市の男性会社員(34)は「解説のおかげで理解が深まった」と満足気だった。
クマ出没の影響で1日に公開を再開した史跡大船遺跡には、午後3時半までに約100人が来場。スタッフの大宮トシ子さん(68)は「今後の観光需要の盛り上がりに期待したい」と話していた。市縄文文化交流センターの入館者数は155人で、隣接する「道の駅縄文ロマン南かやべ」には173人が立ち寄った。同センターの担当者は「先週との比較でやや数を減らしている。まだ(外出や旅行に対する)機運が盛り上がっていないのではないか」とみている。