8月30日にクマ1頭が目撃され、同日から臨時閉場している史跡大船遺跡(函館市大船町)について、市教委は27日、同遺跡の公開を10月1日に再開すると発表した。電気柵の設置やスタッフによる巡回など、来場者の安全確保に向け対策を強化する。
市教委文化財課によると、目撃以降の約1カ月間、遺跡周辺に捕獲用の箱わなを設置し、ハンターが巡視を行うなど経過観察に努めてきた。渡島総合振興局の担当者やハンターらクマの生態に詳しい専門家との協議を重ね、電気柵の設置やサイレンの吹鳴、遺跡管理スタッフによる巡回などの対策を講じた上で、10月1日の公開再開が決まった。
全長約250メートルの電気柵は同振興局から無償で貸与され、クマの目撃情報があった「縄文の森」周辺に設置を予定し、28日に設置工事に取り掛かる。なお、同エリアは再開場後も引き続き立ち入り禁止の措置を取る。
同課は「約1カ月間、やむなく遺跡を閉鎖する措置を取り、遺跡の来訪者に迷惑をかけた。安全確保を第一に、10月からの公開再開に備えたい」としている。
同遺跡で定時解説を務めるスタッフの大宮トシ子さん(68)=北の縄文CLUB会長=は「電気柵設置などの対策を講じながらの開場となるが、まずはひと安心といったところ。再開後には、より多くの人に遺跡へ足を運んでもらいたい」と安堵(あんど)した様子だった。(海老田暁)