悲願がかなった―。北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録が正式に決まった27日、登録を目指して活動してきた地元関係者は歓喜に包まれ、価値を広く伝える今後の活動に意欲を示した。
縄文DOHNANプロジェクト くす玉割り万歳
○…「縄文DOHNANプロジェクト」(山田かおり代表)のメンバー約20人は、オリジナルキャラクター「カックー」をあしらったTシャツやお面を身に着け、登録決定の瞬間に歓声を上げた。喜びの瞬間は、地元ケーブルテレビ局のNCVで生中継。クルミ柄のくす玉を割り、万歳で世界文化遺産登録決定を祝福した。
2019年7月にプロジェクトを立ち上げた山田代表(43)は「発足から2年間、突っ走ってきた。この日に向けて活動してきたが、実感が湧かない」と表情を緩め「遺跡群の価値をあらためてたくさんの人に伝えていくとともに、地域を発展させていけるような取り組みに力を尽くしたい」と語った。
同プロジェクトの菅原峻さん(37)は「小学校で紙芝居をしたり、大学の学校祭に参加したりとさまざまな活動を通じ、認知度が高まっていることを実感した。登録を契機に、さらに活動に力を入れていきたい」と喜んだ。(稲船優香)
「大きな喜び」渡島振興局視聴会
〇…「コロナ禍で暗い話題が多い中、久しぶりに大きな喜びだ」―。登録決定の一報を受け、渡島総合振興局の鳴海拓史局長は安堵(あんど)の表情を見せた。振興局の会議室では、鳴海局長のほか、石丸幸夫副局長、井田操くらし・子育て担当部長ら6人が世界遺産委員会のライブ視聴会に参加した。
鳴海局長は縄文をあしらったマスクを着け、終始リラックスした雰囲気でライブ中継を見守った。決まった瞬間は全員で拍手をして喜びを共有。鳴海局長は14年越しの努力が実り、関係自治体に感謝するとともに「『JOMON渡島』をスローガンに縄文文化の魅力発信や理解の促進、観光振興など経済の活性化に向けた取り組みを展開し、渡島の振興につなげたい」と決意を新たにした。
札幌で決定を見守った鈴木直道知事も「われわれの宝が世界の宝になった。将来にわたって確実に引き継いでいくのが使命だ」と述べ、遺跡を有する函館市など道内4市町と協議会を設立する考えを表明した。(山崎大和)