【木古内】日本船舶海洋工学会(東京、藤久保昌彦会長)は、歴史的・技術的に価値のある船舟類や関連施設を認定する「ふね遺産」に、木古内町沖で沈没した「咸臨丸」を選定した。9月に「咸臨丸終焉(しゅうえん)150周年記念式典」の準備を進める町関係者にとって吉報となった。
咸臨丸は、1854年江戸幕府の命でオランダで建造され、57年に竣工(しゅんこう)、8月に長崎に回航された。60年2月に浦賀を出航し、37日間の航海を経て米サンフランシスコに到着。日本船として史上初の太平洋横断を果たした。その後、北海道開拓使の物資輸送船などとして活躍し、71年木古内沖で座礁沈没し、今年で150年目。
今回、非残存船では9例目の認定で、咸臨丸子孫の会(藤本増夫会長)、横須賀市教委、木古内町教委の2年越しの推薦が実った。サラキ岬で活動する有志のまちづくり団体「咸臨丸とサラキ岬に夢見る会」の舛野信夫会長は、今回の認定に「節目の年の認定は意味のあること。式典に向け関係者も盛り上がっている」と話す。
咸臨丸終焉150周年記念式典(実行委主催)は9月25日、咸臨丸が眠るサラキ岬で行う。別会場で函館市の講釈師、荒到夢形さんの記念講演会も。また、同会18年間の活動を締めくくる記念誌を発行する。
舛野会長は、これまでの町や地域の協力に感謝した上で「式典はこれまでの活動の総括の場。地域の皆さんに会の活動と咸臨丸を知ってもらう機会としたい」と期待を込める。
式典に合わせ、これまでの歩みを約60点の秘蔵写真で振り返る写真展を町中央公民館で開催する予定。(佐藤由紀彦)