函館碧血会(北原善通会長)は25日、戊辰戦争時の旧幕府軍戦死者をまつる碧血碑前で慰霊祭を行った。関係者20人が参列。法要後には、浪曲師の東家一太郎さん(42)が浪曲「五稜郭始末記」を奉納した。
箱館戦争(1868~69年)の雌雄を決した日が新暦の6月25日に当たり、毎年この日に慰霊祭を開催。昨年は雨天のため実行寺(船見町、望月伸泰住職)で営んだため、碑前では2年ぶりとなった。今年も新型コロナウイルス感染防止の観点から、関係者のみが参列した。
法要では、谷地頭認定こども園の園児が作った折り鶴を供え、導師を務めた実行寺の望月正壽副住職ら4人の読経が響く中、参列者が焼香した。北原会長(85)は「会の大切な役割は碧血碑をいつまでも護持し、慰霊すること。これからも活動を行っていきたい」と述べた。
法要後には、東京・浅草を拠点とする東家一太郎さんと、妻で曲師(三味線)の東家美(みつ)さん(40)が浪曲を奉納。市街地に放置された旧幕府軍戦死者の遺体を回収、埋葬した柳川熊吉の史実を基にした作品で、函館では初披露となった。
一太郎さんは「作品の主題の場所で浪曲をさせてもらえたことは浪曲師冥利(みょうり)に尽きる。碧血碑に眠られている皆さん、建てられた皆さんの思いが身に染みてきた」と話した。
一太郎さんらは26日午後1時から函館蔦屋書店、同6時から市青年センターで公演する。入場無料。(今井正一)