海上保安庁函館航空基地(函館市赤坂町)の新人機動救難士、重金勇作さん(28)が25日、新任隊員の訓練の総仕上げとして24時間以内で100キロを歩く「100キロ行軍」に臨んだ。森町砂原から雪の降る中を夜通し歩き、26日朝、22時間40分で函館航空基地に到着。3月1日に機動救難服を貸与され、24時間体制の出動任務につく。(神部 造)
重金さんは函館市出身。2012年に海上保安学校を卒業後、潜水士を経て昨年4月に同基地に配属され、ヘリコプターからの降下、吊り上げ、救急、潜水などの訓練を重ねてきた。
同基地では厳冬期に100キロ行軍を実施するのは初めてで、例年は松前町から函館航空基地まで歩くが、今回は積雪を考慮してコースを変更した。
25日午前10時に道の駅「つど~る・プラザ・さわら」をスタート。午後5時ごろ、函館市臼尻町あたりから雪が降り始め、視界がきかないほどの激しい雪と暗闇の中、寒さに耐えながら歩いた。
日付が変わり26日午前8時40分、函館航空基地に到着。待ち構えていた職員30人から拍手で迎えられ、長縄跳び10回をさせられる手荒い祝福を受けた。
10回を跳びきった重金さんは、満面の笑顔でガッツポーズ。「歩いている間、今までのつらい訓練を思い出していたが、100キロ行軍が一番つらかった」と振り返った。同基地機動救難隊の山浦康之隊長は「苦難を乗り越えた自信を糧に、隊員として頑張ってほしい」と期待を寄せる。