渡島総合振興局の若手職員プロジェクトチーム(リーダー・森川嵩大函館建設管理部維持管理課主事、7人)は、縄文鍋をテーマに食で地元を盛り上げようと活動している。縄文人が食べていた古代グルメを現代風にアレンジした鍋料理のレシピを考案、振興局公式インスタグラム「『おしま』と読みます」を通じ魅力を発信している。
チームは森川さん(28)や事務局を務める佐々木良輔さん(29)=地域政策課主任=ら7人。2019年度に活動をスタート、渡島管内にある9縄文展示施設を訪ねて縄文時代の食生活について勉強したほか、局内職員を対象にした縄文に関するアンケートも踏まえ、縄文の味を再現しようと鍋料理の提案に至った。
鍋料理の定義は①魚類を1種類以上②山菜類を1種類以上③貝類または肉を1種類以上④透明なスープ―を使うことにした。2人は「土器の出土状況などから縄文人は山菜をよく食べていたことが分かり、函館は海沿いなので魚も頻繁に捕っていたと考えられる。味付けは当時、海水を煮詰めた塩系のスープが主流だったのではないか」と推察する。
班員が試作を重ね、昨年2月にシエスタハコダテで開催予定だった縄文文化を楽しむイベント「ドキ!ドキ!縄文エキスポ」で鍋を振る舞う計画だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止に。
今年度も、イベントで鍋を提供するのは難しいが、レシピの紹介文を折り込んだポケットティッシュを約1000個用意し、昨年10月に函館蔦屋書店で開かれた「はこだてスイーツフェスタ」で配布。市立函館博物館にもポケットティッシュを置き、来館者が自由に持ち帰りできるようにした。
レシピ自体をインスタグラムに投稿し、ポケットティッシュの紹介文に添付したQRコードを読み取ると、インスタのページに飛び、レシピを閲覧できる。
また、秋サケの定置網漁など食材の生産者を班員が取材し、漁獲などの様子の動画をインスタに投稿。各縄文展示施設で得た豆知識もインスタで紹介している。年度内には、班員が縄文鍋を調理している動画もインスタに投稿予定だ。
森川さんは「縄文を知るきっかけになり、縄文時代の食生活について理解してもらえたと思う。世界文化遺産登録に向け機運向上につながれば」、佐々木さんは「食材の産地に出向き、水産や農業など普段接点の少ない生産者と交流でき、新鮮な体験だった。活動を1本にまとめた動画を制作したい」と意気込んでいる。(山崎大和)