函館市や渡島管内で新型コロナウイルス感染拡大が止まらない状況が続いている。年末年始の帰省や往来に起因する感染のほか、函館、北斗両市内では散発的に福祉施設や会食などによるクラスター(感染者集団)も発生。医療現場や宿泊療養施設では“ひっ迫”に近い状況で緊張感に包まれている。これ以上の感染拡大を防ぐためにも、管内の保健所などは「改めて基本的な感染予防策の徹底を」と呼び掛けている。
函館市内の感染ペースは年始に急加速し、1月は16日に1日としては過去最多となる30人の感染が判明。19日現在で164人と、11月の71人、12月の89人を大幅に上回る。年末年始の帰省や往来のほか、救護施設「明和園」(日乃出町)のクラスターでは33人の感染が確認されている。濃厚接触者の検査は終了し、19日は関連の感染者は確認されなかった。
市立函館保健所は、感染対策をとっていない店舗の利用を控えることや感染流行地との往来は必要性を考えた上で行動することなどの対策の徹底を挙げ、「発熱など体調不良がある場合は特に出歩かないでほしい」とする。
函館市と同時期に北斗市でも感染者が増え始め、市内では複数のクラスターが発生。渡島保健所は「函館市内の宿泊療養施設の入所者が急増し、施設確保が厳しい状況になっている」と明かす。同保健所は「入院調整も含め、ぎりぎりの状況が続く」と切迫感が強まっている。宿泊療養施設の2棟目について、具体的に話は進んでいないが「検討が必要」(同保健所)との認識だ。
同保健所管内では、9~11日の3連休明けから患者が急増。「年末年始に人が集まったことに伴う感染のピークが来ている。山が早く落ち着いてほしい」とし「基本的な感染対策の徹底をあらためてお願いしたい」と呼び掛けている。
市立函館病院の19日午前現在の病床の使用状況は、重症は5床、中等症IIは2床、同Iは3床、軽症は5床の合わせて15床。全47床あり、病床使用率は31・9%で国の指標に当てはめるとステージ3(25%以上)を超えている。
高齢者施設や介護施設でクラスターが発生した場合、感染者と非感染者の区域を分ける「ゾーニング」ができない施設があると、軽症でも入院が必要になることも。医療従事者はコロナの治療に加えて認知症患者らへの対応にも追われ、さらに負担が増すという。同病院は「まだ15床だから大丈夫、ということはまったくない。今後人数が増え続ければ満床も迫ってくる。病院の医療提供体制に支障をきたさないためにも高齢者を中心とした感染予防がさらに必要」と危機感を募らせる。その上で「感染させないようマスクの着用や手指消毒などを徹底してほしい」と訴えている。(山崎大和、長内宏人、小杉貴洋)