日本の神話などを題材に、水墨画の「にじみ」を油彩で表現し「色彩の魔術師」とも言われるフランス人洋画家、マークエステル(本名マーク・アントワーヌ・スキャルシャフィキ)さん(77)が21日、函館市谷地頭町の函館八幡宮(川見順春宮司)を訪れ、同八幡宮の主祭神である応神天皇と母、神功皇后を描いた油彩画を奉納した。
マークエステルさんは外交官として1970年の大阪万博開催時に初来日。清水寺(京都)で和紙に描かれた水墨画のにじみに魅せられ、芸術家の道に進むことを決意。72年から油彩を始め、東洋画と西洋画を融合させた独自の技法を確立。誕生日が同じ(2月26日)という故岡本太郎氏とも親交を深めた。
日本人の自然を大切にする心の温かさや、愛が詰まった日本神話の精神を描き世界へ発信し、これまで伊勢神宮などに油彩画やブロンズ像などを奉納。昨年11月の「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」では自身の絵本「日本神話」の絵画が紹介された。
この日は札幌市内で開催中の来日50周年記念個展を機に函館入り。全国で188作品目の奉納となった同八幡宮への作品はF20号(約72×60センチ)で3年前に描き、画集「日本神話の愛の道を巡る」に収録している。奉納奉告祭が行われ、責任役員らに披露された。
川見宮司は「大変ありがたい。大地が黒で力強く神が立っているようだ。参拝者が見られる場所に設置したい」と感謝し、マークエステルさんは「平和と愛情が広がることを感じてもらい、日本の神道精神が世界に通用するようになってくれれば」と話していた。(山崎純一)