函館のコミュニティーラジオ局FMいるか(80・7メガヘルツ)は、AI(人工知能)を活用した新たな防災気象情報システムを導入し、10月1日から放送に取り入れる。定時の天気予報を〝AIアナウンサー〟が読み上げるほか、夜間・早朝を中心に各種防災警報などを通常放送に自動的に割り込んで速報し、防災情報の充実を図る。
同局によると、AIアナとAI天気予報を含めた防災気象システムの導入は道内の民放ラジオ局では初めて。国内放送局で運用実績のあるアイダス(東京)が開発した「緊急防災情報自動カットインシステム」を導入した。
天気予報は、気象庁などが発表する防災情報を元に、AIが自動的に原稿を生成して合成音声で読み上げる。経験を積むことで誤読やイントネーションを修正し、精度を向上させていく。平日は一日4回、土・日曜は3回、AIアナによる天気予報を放送する。10月後半からは英語、中国語での予報も平日2回、土日1回流す予定で、外国人居住者や観光客にもスムーズに情報を伝える。
また、防災情報は函館市、北斗市、七飯町を中心として渡島東部に発表される気象警報、地震情報、津波情報、土砂災害警戒情報などを、夜間・早朝を中心に、通常放送に割り込む形で伝える。
同局は2018年9月の胆振東部地震の際、午前3時7分の発生後、同3時半に局員が駆けつけて放送を開始した経験があり、災害時の迅速な情報提供が課題となっていた。同局の伍楼康広さんは「夜間や早朝はスタッフが不在で、局員が来たり待機させるしかなかった。突発的な災害でもすぐに放送できるようにし、効率よく対応していきたい」と話している。(千葉卓陽)