2021年世界文化遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」に含まれる垣ノ島、大船両遺跡のイラストが描かれた、函館市南茅部支所の地域福祉バス1台が18日から運行している。同支所は「多くの人の目に触れて足を運んでもらうきっかけになれば」と期待する。
地域住民や観光客に広く縄文遺跡群の魅力を伝えるとともに、世界遺産登録への機運向上を図る狙い。市は、過去に函館市電などでイラストをラッピングした実績がある公立はこだて未来大の木村健一教授に協力を依頼。イラストを同大大学院メディアデザイン領域修士1年の小松裕奈さん(22)が、デザインを西山凜太郎さん(23)が担当し、木村教授が監修した。
西山さんは、さまざまな史料や専門家の意見を参考にしながら構想を練る中で、大正~昭和期の鳥瞰(ちょうかん)図絵師・吉田初三郎に着目。「地球の地形を大胆かつ彩り豊かにデフォルメする吉田の画風を取り入れた」とこだわりを明かす。
イラストは南茅部地域の鳥瞰図を縦約1・5メートル、横約9メートルで描き、バス両側面に張り付け。その中に両遺跡の盛り土遺構や縄文人の生活ぶりを細部まで表現したほか、市縄文文化交流センターのイメージキャラクター「どぐう館長」を各所にあしらい、縄文一色に仕上がっている。
バスは今後、同地区小中学校の校外学習や町会行事などで使用し、“走る広告塔”として活躍する。(長内宏人)