函館公園内の旧市立図書館前で昨年5月に植栽したライラックの若木が初めての花を付けた。英国領事リチャード・ユースデン夫妻ゆかりの木で、帰国から140年がたっても変わらぬ「友情」を市民に届けている。
ユースデンは函館公園開設の提唱者で、1879(明治12)年の公園完成時に本国から取り寄せたライラックやセイヨウグルミを植栽。翌年の帰国後も函館に思いを寄せ続けたと言われる。
国内最古と言われる同公園のライラックは1954年の洞爺丸台風で枯死したが、市民がひこばえから育てたゆかりの木が残り、道立工業技術センターに受け継がれていた。2008年に原木から4代目となる木を公園内に戻している。
一方、道総研林業試験場(美唄市)では、12年から同センターから採取した穂木を元に子孫木を培養。昨年5月に同公園内に4本を植えた。丸1年が経過してもまだ幹は細く樹高も1メートル強ほどだが、このうちクルミの木の前に植えた1本が花房を3つ付けた。08年に植えた木も大きく成長しており、曇天の公園内に淡い紫色の彩りを添えている。(今井正一)