【上ノ国】町湯ノ岱地区の春の風物詩とも言われているゼンマイ干し作業が、民家の庭先などで始まっている。とれたばかりのゼンマイをゆで、揉みほぐしながら天日干しする作業が、地区内各所で繰り返し行われており、今月末ごろまで続けられる。
山菜の宝庫である同地区では、ゼンマイの採取がギョウジャニンニクの採取時期が終わった頃から始まる。三浦峰雄さん(73)方では9日からゼンマイの採取のため山に入っているといい、天候の安定している日は、1日に約50キロ採るという。
とれたてのゼンマイは、らせん型の新芽にかぶさった綿毛を取り除いた後、ゆでてむしろの上に広げ、天日に当てて干す。時折、妻の幸子さん(70)が、干している途中のゼンマイを小分けして取り出し、乾燥を早めるためゴザの上で揉む作業を行っていた。
乾燥させたゼンマイの用途について、幸子さんは「正月のクジラ汁に入れたり、普段のみそ汁や炒め物にも使います」と話し、乾燥には約3日かけるという。(入江智一)