新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、医療現場で感染防止品の不足が深刻化していることを受け、函館少年刑務所(金山正美所長)は今月中旬から、医療用ガウンの生産を始める。同刑務所発の刑務作業製品「マル獄シリーズ」の生産で培った縫製技術を生かし、10月末までに4万着の製作を目指す。
感染者と接する医療従事者の防護具不足を補おうと、法務省が施設内に縫製工場のある全国の41刑務所で生産することを決めた。全国で120万着の生産を目標としている。
着手するのは、飛沫(ひまつ)感染などを防ぐため、医師らが着用する「アイソレーションガウン」。不織布製で、受刑者が刑務作業として、裁断や縫製を行う。仕上がったガウンは、厚生労働省を通じ不足している医療機関に提供する。
函館少年刑務所の縫製工場ではミシン50台を配置。現在は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため刑務作業は中止しているが、前掛けや小物入れなどのオリジナル品を手掛けている。
ガウンの生産に当たり、同刑務所は大型連休後に工場内のレイアウトを変更。近日中に材料が届く予定で、円滑に作業できる態勢を整え、最大70人の受刑者が縫製作業などに当たる。
同刑務所処遇部企画部門の今井健剛さんは「社会に求められる作業だとして、やりがいを持って臨むよう受刑者に伝えたい」と話している。(山田大輔)