函館市元町の国重要文化財「旧相馬家住宅」(東出伸司館長)は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今季の開館を当面見合わせることを決めた。室内空間での密集、密接状況を避けるのが難しいためで、再開時期を明言せず「感染症流行の収束のめどが立つまで」としている。
旧相馬家住宅は、函館の豪商、初代相馬哲平(1833~1921年)の私邸で1907(明治40)年の大火後に再建した建物。解体の危機にあったが、東出館長(80)が2009年に取得して修復を図り、10年から明治末の建築技術の粋を集めた建物とともに相馬の功績などを伝える施設として運営。18年には重文に指定された。
10周年となる今季は休館日を週2回にするなど、運営上の負担を減らして4月25日から11月末までの開館する計画だった。ただ、新型コロナの影響で、居室をそのまま活用した建物内では混雑時に密集、密接状況を避けにくいことなどから休館を決めた。
東出館長は「密室的な空間も多くあり、対策が難しいことから休館を決めた。見通しがついた段階でホームページなどでお知らせしたい」としている。(今井正一)