1934(昭和9)年に起きた函館大火の犠牲者を追悼するため、毎年命日に当たる3月21日に市慰霊堂(市大森町)で執り行われてきた慰霊法要が87回忌となる今年は開催が見送られることになった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため。法要はないが、21日午前9時半から午後3時まで参拝ができる。
慰霊法要は市仏教会(田村紀晃会長)の主催。例年遺族らが参列し、同会僧侶による読経が行われていた。市保健福祉部は近年参列した関係者や遺族らに法要の取りやめを周知したとしている。
昭和9年の函館大火は当時の市街地の約3分の1を焼き尽くし、死者2166人、行方不明者662人、2万2667世帯が焼け、被災者は10万人を越えるなどした函館が経験した過去最大の都市災害。慰霊法要は、大火の翌年に仮慰霊堂で始まり、現在の建物は38(同13)年に完成。近くを流れる亀田川は水死者や凍死者を多く出した場所のひとつ。堂内には679人が無縁仏として納骨されている。(今井正一)