【札幌】道の鈴木直道知事は28日の道感染症危機管理対策本部会議で、道内での新型コロナウイルス感染拡大を受けて「緊急事態」を宣言した。道民に対し、今週末の29日と3月1日の外出を控えるよう呼び掛けた。期間は28日から3月19日まで。
知事は同日午後5時半から開かれた会議で、「オール北海道で取り組んできたが、状況はより深刻さを増している。一日も早く収束させ、道民の命と健康を守り、暮らしへの影響を最少とするためには今が山場。思い切った対策が必要」と言及。集団感染の疑いがある6人が北見市内で行われた展示会に参加し、札幌からも参加者がいたとして「大都市に各地域から人が集まり、地域に分散する北海道の都市構造上の問題も踏まえ、感染拡大を抑える対策が必要」と述べた。
会議後、午後6時過ぎから開いた緊急会見では、緊急宣言について、法的根拠に基づくものではないとし、「症状が極めて軽い方からも陽性反応が出て、濃厚接触者に感染する事例が出ている。都市構造と重なると、感染拡大が急激に伸びる」とした上で、今週末にできる限り外出を控えてほしいと訴えた。
併せて、27、28日から全道の小中学校が一斉休校に踏み切り、国の要請を受けて3月2日から高校にも拡大される事態を踏まえ、「子どもたちに不要不急な外出を控えることをお願いしている中で、大人たちも2日間は外出を控えてほしい。大切な人の命、健康は何事にも代えられない」とした。
また、知事は安倍晋三首相に対し、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために緊急要望を行う意向を明らかにし、「実際に患者が発生し、一番近いところで向き合っている地域の声を届けるだけではなく、道を重点地域としてしていただきたい。全国で患者が発生拡大した時に、必ず我々が取り組んできたことが役に立つ」と強調した。
道内を週末に訪れる観光客に対しては、「道内で取り組みを行っていると説明することに尽きる」とした。(千葉卓陽、鳥越裕子)