函館のジャズバンド「YOSHIMURA4(ヨシムラ・フォー)」のサックス奏者で函館中部高3年の吉村仙さん(18)が、9月からジャズの名門校バークリー音楽大学(米・マサチューセッツ州ボストン)に授業料全額免除の奨学生として4年間留学する。兄の玄さん(22)が現在、同大のドラム専攻で在学中で、兄弟そろっての進学となった。仙さんは「努力を積み重ねて素晴らしいサキソフォニストになりたい」と意気込んでいる。
仙さんは兄の影響で6歳からサックスを始めた。「音楽を通じて人々に幸せを届けたい」とプロのミュージシャンを目指し、多くの卒業生が世界的に活躍している同大を高校卒業後の進路に決めた。
留学に向け、仙さんは昨年7~8月の約1カ月、同大の「サマースクール」に参加。現地でプロのジャズ演奏に触れたほか、1回目のオーディションを受けた。同11月の2回目のオーディションでは、受験生が各自で曲を選択。仙さんは自分の技術を披露するチャンスととらえ、コード進行の難しい曲を演奏し「緊張したが、今の自分を見せることができた」と振り返る。
オーディションの結果に加え、面接試験やTOEFL(外国語としての英語のテスト)の点数から昨年12月末に合格通知が届いた。「ずっとあこがれだったので、本当にうれしかった」と喜んだ。
玄さんは「本人の希望が叶って良かった。世界一の演奏家の技術を吸収してほしい」、母の小織さん(57)は「全額免除は評価の証なので入学後もやっていけると、ほっとした。周りの人への感謝を忘れず自分を磨いてきてほしい」とエールを送る。
9月からの米国での新生活に仙さんは「さまざまな人との演奏など楽しみが多い。(全額免除の)責任を感じ、世界一の環境で技術の幅を広げたい」と目を輝かせた。(飯尾遼太)