函館市消防本部(近嵐伸幸消防長)で深夜勤務で仮眠(休憩)中の出動時に発生する時間外手当に関して不正受給があった問題で、同本部は9月30日、最終調査結果を公表した。2015年度からの4年間で、延べ767人の職員に計1213万8988円が不正に支給されていたことが判明。同本部は対象者に全額返納を求めるとともに、年内にも関係者を処分する。
年度別の不正支給額の最大は、16年度で398万4377円。調査対象者の約6割に当たる199人が受け取っていた。
15年度は341万4323円、17年度は332万6101円。1人当たりの平均返還額は、1年間分で1万5000円~2万円になる見通し。
18年度は、問題の発端となった北消防署で不正を改める動きがあったことから、総額は141万4187円だった。19年度や日勤の職員に不正は見つからなかったという。
不正受給を巡っては、匿名で告発する手紙が今年3月、市に届いたことで発覚。同本部が現職員と退職者から聞き取りを進め、勤務関係書類と照合を進めてきた。
同本部によると、不正はは北消防署で12年度ごろから始まり、人事異動などで他の部署にも拡大。東消防署で14年ごろ、本部で15年ごろに不適正な支給が初めて確認された。
一方、業務日誌などの関係書類は15年度以降分しか保存していないため、それ以前の不正分は個人や金額を特定できず、返納は求めないとした。また、一部の部署では、15年度と16年度の業務日誌を紛失したため、不正額を調査できなかったという。
組織として全体の把握が遅れ、早期に是正できなかった要因に関し、同本部は「時間外勤務命令簿に記載されたものと実際の勤務時間の確認が徹底されていなかった」と釈明する。
事態を受け、同本部は来年度から夜間勤務体制を抜本的に見直すとともに、勤務のチェック体制を強化する。職員の処分は、市総務部に審査を依頼する。
同本部は、こうした事実を1日に開催する市議会総務常任委員会で説明する予定。近嵐消防長は「責任を痛感している。再発防止を図り、市民の信頼回復に努めたい」と話している。(山田大輔)