北大大学院水産科学研究院の松石隆教授らの研究グループが30日、オホーツク海沿岸に漂着したクジラを調査分析した結果、新種であることを確認したと発表した。従来知られたツチクジラよりも小型で体色が黒いことが主な特徴で、和名を「クロツチクジラ」とし、同日に研究成果をまとめた論文を英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。
論文名は「北太平洋で発見されたツチクジラ属新種鯨類の記載」で、松石教授のほか、国立科学博物館、岩手大、スミソニアン博物館(米国)などの研究者7人の共著。
国立科学博物館などによると、ツチクジラ属はツチクジラとミナミツチクジラの2種が確認されているが、道内の捕鯨関係者の間では「クロツチ」や「カラス」と呼ばれる一般的なツチクジラと比べて、色が黒く体が小さいクジラがいると知られていたという。
研究グループは、松石教授が主宰する漂着鯨類調査グループ「ストランディングネットワーク北海道」が2008~19年に収集したオホーツク海沿岸に漂着した未知種8体と、既知種2種の形態学的特徴や遺伝子情報などを比較。
既知種に対して、①成熟した雄の体が6・2~6・9メートルと小さい(ツチクジラの平均は10メートル)②体長に対するふんが小さい③体の色が黒い④頭骨形態が異なる⑤DNAに差が認められる―などから新種であると判断した。
直近では、国際海棲哺乳類学会が14年にオーストラリアウスイロイルカを新種と認定しており、クロツチクジラが認定されると鯨類は90種となる。(金子真人)