北方領土返還に向けた啓発運動を進める千島歯舞諸島居住者連盟函館支部(坂上範夫支部長)は9月1日から、「北方領土の日ポスターコンテスト」(道主催)のこどもの部(中学生)で函館市内から入賞した函館桔梗中3年の佐々木梨緒さん(14)の作品を函館市電の中吊り広告として初めて掲示する。
市電を通学などで利用する若い世代にポスターを通じて北方領土の現状について知ってほしいと同支部青年部が企画した。
昨年度のポスターコンテストの中学生部門には全道から248点の応募があり、佐々木さんの作品は16点が選ばれた入賞作品。所属する美術部の活動の一環としてコンテストに応募した。
佐々木さんは「市電広告に自分の作品が使われると聞いてうれしかった」と笑顔を見せる。作品には、海に浮かぶ北方4島を上下の手で包む様子を描き、「北方領土を守る」という願いを込めた。佐々木さんは「ポスターを描いたことで北方領土について関心を持つようになった」と意識の変化もあったという。
広告にはポスターとともに、全国規模で北方領土返還を啓発する「北方領土問題対策協会」の活動を紹介するフェイスブック、ツイッターのQRコードも掲載し、若い世代が関心を持てるよう工夫を凝らしている。同支部青年部の井田範行部長は「北方領土返還という問題を若い世代にも知ってもらうきっかけになればいい」と話している。
中吊り広告は函館市電全28台中8台に9月30日まで掲示する。(飯尾遼太)