宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める小惑星「フェートン」の探査機「DESTINY+(デスティニープラス)」のサイエンスチームは22日午前3時45分ごろ、函館市など道南地域でフェートンがぎょしゃ座の1等星カペラの近くの星の前を通過し、光をさえぎる現象(恒星食)の観測を行った。
結果、天候不良のため全ての地点で観測できなかったが、同チームの千葉工業大学の荒井朋子主席研究員は「天気さえよければ観測できる体制だっただけに残念。今回の教訓を生かしたい」と前を向いた。
観測はフェートンが通過し、光をさえぎる時刻と時間を正確に計測し、約0・5秒と肉眼で捉えるのは難しい現象をカメラ搭載の望遠鏡で録画して大きさや形状を割り出し、探査機計画の一助とする狙い。当初、市内と北斗市、七飯町に17カ所の観測地点を設けたが、天候悪化から江差町、乙部町付近の日本海沿岸部に地点を移動した。
このうち、函館中部高校(田尻勝敏校長)では、同校に設置されている口径30センチの反射望遠鏡で観測。20日には観測準備の様子を地学部員10人が見学した。平沢岳大部長(16)は「観測には精密な計算が必要だと学んだ。貴重な機会に立ち会えてうれしい」と話していた。
今後に向け、荒井主任研究員は「地球上で年一回程度は観測できる現象。チャンスがあれば今後も挑戦していきたい」と意気込んだ。(飯尾遼太)