茨城県の常磐自動車道で起きた「あおり運転」の傷害事件を受け、函館市内ではドライブレコーダーの需要に拍車がかかっている。カー用品を扱う量販店では、事件が報道される前と比べて3倍以上の売れ行きとなっている店もあり、悪質な運転による被害が増加傾向にある中、今後も必要性は高まりそうだ。
桔梗町のイエローハット函館新道店は取り付け代金を含め、4万~5万円の価格帯が売れ筋。10日の事件発生以降、特に高齢者や女性の購入者が多く、1日の売り上げは事件前と比べて3、4倍に上るという。
同店では、神奈川県の東名高速道路で昨年6月に発生したあおり運転による交通死亡事故などを契機にドライブレコーダーの売り上げが伸び、品薄状態が続くという。米澤孝幸店長は「前方と後方の両方を撮影できるタイプが一番人気。1台当たりの購入単価も上がっている」と話す。
道南のタクシーでもドライブレコーダーの搭載が進む。函館地区ハイヤー協会によると、2年ほど前は設置済みの車両が半数程度だったのに対し、現在は全体の9割以上に当たる約800台で取り付け完了した。
導入で事業者の負担も増えるが、同協会は「事故やトラブルに伴う費用と比べれば安く済む。設置によって運転手の安全運転への意識も高まった」と意義を強調する。
道警函館方面本部は19日、七飯町で国道5号を逆走した鹿部町の漁業の男(54)に逆走としては道内で初めて暴行罪を適用し、函館地検に送検したが、裏付けにはドライブレコーダーが大きな役割を果たした。
函館中央署によると、悪質で危険な運転に関する相談件数は増えつつあるという。あおり行為を受けた際の対応について、中林正志交通第一課長は「落ち着いて安全な場所に停車し、110番通報するのが第一。身を守るために絶対に窓は開けず、可能な限り相手の車のナンバーなど特徴を記録してほしい」と呼び掛けている。(山田大輔)