運動神経に障害が出る難病「ギラン・バレー症候群」と闘病しながら漫画家として活動する函館市在住の田村紋子(あやこ)さん(36)のエッセー漫画「ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!」(講談社)の単行本が22日、全国発売された。自身の10年以上続いた闘病生活をコミカルに描き、同社発行の週刊漫画雑誌「モーニング」に連載されたのを単行本とした。
田村さんは准看護師として働いていた2002年10月に発病。運動神経の障害で手足が動かなくなり、さらに吐き気や腹痛などを併発し、約2年間寝たきり状態のままで入院生活を余儀なくされた。退院後も腹痛などの症状は治まらず自宅で療養する日々。発病から5年目ごろから症状が少しずつ落ち着き、もともと好きだった絵やイラストを描き始めた。最初は手足は自由に動かず指先で描いていたが、徐々に筆記用具を使って描けるまでになった。
11年ごろから漫画にも挑戦し、友人から「漫画で闘病記描いてみたら」と勧められたのをきっかけに「ふんばれ―」の原形となる作品を執筆。12年に応募した漫画コンテストで2位となり、13年に別の作品で雑誌デビューを果たした。
14年にはモーニングの漫画新人賞に「ふんばれ―」で応募し、編集部長賞を受賞。同社から連載を持ちかけられ受賞作を長編化、15年7月から今年2月までのモーニング本誌とウェブコミックで計17回掲載された。
田村さんは「読者を重たい気分にさせず、軽く読んでもらえるように苦心しました。編集担当者のアドバイスを受けながら描きました」と振り返る。
抜き差しならぬ重篤な症状が続いた闘病生活だったが、当時の心境や痛みなどをユーモラスに描いている。
田村さんに寄り添い続けた母・久子さん(64)は「寝たきりになったときは、このままにさせない、あきらめさせないという思いで支えた」と振り返る。
田村さんは現在、手足の感覚はないままだが、快方へと向かっており「いろいろなテーマの漫画を描きたい。応援してくれた人たちに恩返しする作品を残していきたい」と、今後の創作に意欲を新たにしている。
160ページ。616円。主要書店で販売している。(鈴木 潤)