第一管区海上保安本部函館航空基地と市立函館病院は7日、同院で救急患者の合同搬送訓練を行った。函館に寄港するクルーズ客船が増え、洋上救急の出動機会増加が見込まれる中、急患搬送の引き継ぎについて手順を確認した。
訓練は、連携強化と搬送、受け入れを迅速に行う目的で毎年実施。この日は、漁船から海中転落した患者を搬送する想定で、機動救難士ら約10人の海上保安官と、同院の医師ら約10人が交替で訓練に臨んだ。
同基地が保有するヘリコプター「くまたか2号」で同院の屋上ヘリポートに到着した隊員は、急患に見立てた人形を病院が用意した担架に乗せて搬送。医師と看護師に引き継ぎ、患者の容態や到着までに行った処置などを説明した。
訓練に参加した同院救命救急センターの加藤三四郎医師(33)は「同じ事態が起きた時に円滑に対応できるようにしたい」と話した。
同基地によると、昨年度の出動件数41件で、このうち同院への引き継ぎは4件。今年度は、5月に函館へ向かっていた客船「にっぽん丸」で86歳の男性が心不全となり、ヘリで洋上から同院まで搬送した。こうした例は年々、増加傾向にあるという。
救急救命士の資格を持つ同基地の機動救難士、福本直晋(なおゆき)さん(30)は「クルーズ船の患者の搬送時は、ドクターヘリとは違った引き継ぎがある。傷病者を迅速で安全に引き継ぎできるようにしたい」と意欲を新たにしていた。(山田大輔)