第1管区海上保安本部は2日、洋上で発生した急病人の応急処置を補助する「救急員」として、函館航空基地に所属する5人を初めて指名した。海難事故などの現場で、消防の救急隊員と同じ応急処置が可能となり、傷病者への対応強化が期待される。
救急員制度は、海上保安庁が4月に創設。消防学校で約3カ月間の研修を積み、これまで「救急救命士」の資格を持つ海上保安官しか行えなかった酸素投与や聴診器での心音確認などができるようになった。
指名を受けたのは、いずれもヘリコプターで救助活動に当たる機動救難士で、佐藤光幸さん(42)、阿萬野(あまの)礼央さん(33)、内間大二郎さん(33)、小西創也さん(27)、前田諒さん(28)の5人。全国の航空基地などでは既に30人が選ばれている。
函館航空基地(赤坂町)で同日、指名書交付式があり、新田慎二本部長は「救急体制の要として患者に寄り添い、きめ細かく対処してほしい」と激励した。
式に続き、船で胸の痛みを訴える乗組員が発生したという想定で訓練を実施。救急員は救急救命士とペアになり、酸素吸入器による酸素投与や心電図測定などの手順を確認した。
訓練に参加した札幌市出身の前田さんは「現場では迅速な救助が求められる。知識と技術向上の自己研さんに励み、訓練を重ねたい」と意欲を新たにしていた。(山田大輔)