海上自衛隊唯一の特務艇「はしだて」(400トン、押川秀成艇長)が函館港西埠頭(ふとう)に初入港し、11日に一般公開し、市民1200人が乗船した。見学客は甲板に木材を使った、自衛隊では珍しい艇内を興味深そうに眺めていた。
「はしだて」は1999年に就役し、海上自衛隊横須賀警備隊(松田辰雄司令)に所属。外観は白とグレーの2色塗装で、海自の艦艇の中では異彩を放つ。訓練と広報活動のため、京都・宮津港へ向かう途中、10日に函館へ入港した。
外国の軍関係者らとの会談や会食に使用することから、「海の迎賓館」とも呼ばれ、艇内は壁や階段に木が多く使われている。また、他の艦艇に比べて給養員(調理担当者)の割合が多いという。
災害派遣や医療支援も担い、甲板では傷を手当てする道具箱やAED(自動体外式除細動器)、傷病者をヘリコプターでつり上げる担架を展示。東日本大震災直後の捜索活動、傷病者の搬送訓練の様子を写真で紹介した。
青森県むつ市の高校2年生東田流大さん(16)は艇番号にちなみ、91人目の見学客として歓迎を受けた。「自衛隊の船が好きで、ホームページで一般公開を知って来た。木で豪華な内部に驚いた」と笑顔だった。
松田司令は「自衛官の仕事は多種多様だと知ってもらえる良い機会。興味を持つ自衛官志望者が増えてほしい」と話していた。(深津慶太)