北浜町会(岡部禮子会長)と、近隣の吉川町で薪ストーブの販売や点検業務を行う「ファイヤーワールド函館」(佐々木俊司代表)はこのほど、災害時に同店の暖房器具を住民に提供することなどを定めた協定を締結した。
佐々木代表と北浜町会の橋本篤副会長は30年来の友人で、以前から電力のいらない暖房器具の提供について話し合っていた。昨年9月6日に発生した胆振東部地震で、北海道全域に大規模停電(ブラックアウト)が発生。函館も電力の枯渇に悩まされたことが決め手となり、今回の協定締結に踏み切った。
同町会は、同震災直前の3日にも、吉川町の建設会社「松本組」と、災害時に本社社屋と社員寮を一時避難所として開放するほか備蓄品などを提供する協定を結んだ。協定が奏功し、同社は震災直後、敷地内に自家発電機を使った緊急の充電スペースを設置して住民の生活を助けた。同会が災害時協定を結ぶのは今回で2団体目となる。
協定書には、災害時にガスや電気が止まった際、同店にあるストーブや燃料を自由に使用できることや、同町会から要望があれば、駐車場を含めた同店の敷地全てを、避難所として使えることなどが明記されている。
同店は現在、ストーブのほか、燃料として約1カ月分の薪、1週間以上は使える量の灯油を備蓄。暖房器具のほか、アウトドア用のランタンも貸し出す。また、連絡が取れないなどの緊急時にもスムーズに店を開けられるよう、店舗の合鍵を同町会に預けた。佐々木代表は「いつ災害が起きるかわからない。いざというときには好きなように使ってください」と呼び掛ける。
岡部会長は「昨年の地震が冬の発生だったらと思うと恐ろしい。災害が起きないに越したことはないが、地域のために心強い味方が協力してくれてありがたい」と感謝した。(柳元貴成)