北海道胆振東部地震が発生した6日以降、道南で続いていた停電と断水は8日までに完全復旧した。JRは9日から函館―札幌間の特急列車を再開する予定で、日常の生活が戻りつつあり、住民からは喜びと安堵(あんど)の声が広がる一方、食品の品薄状態が続いているスーパーでは一部商品の入荷が見通せない状況で、混乱はしばらく続きそうだ。
北海道電力函館支店によると、7日午後11時までに道南全域で通電。停電の復旧を受け、各自治体は避難所を8日までに閉鎖し、災害対策本部を廃止した。
JR北海道によると、函館線は9日の始発から一部列車を除いて通常通りの運行を予定。特急は函館午前10時48分発札幌行きのスーパー北斗9号と、臨時特急ニセコ号1往復の計3本が運休する。
道などによると、函館市の旧4町村60戸と上ノ国町の6戸で続いていた断水は、8日正午までに解消。復旧に伴い、函館市が南茅部支所で行っていた給水活動も終了した。
函館市港町2の市営住宅は、地震発生直後から停電と断水が続いていたが、7日午後6時ごろに全面復旧した。6階建ての3階に住む男性(70)は「昨日は風呂に入ってぐっすり眠れた」とほっとした様子だった。
七飯町大中山の主婦、加藤あやさん(37)は「テレビが入らない分、ずっとツイッターで七飯の情報を得ていた。地元の人の書き込みを見て食べ物を調達したり、ガソリンを入れたりできたので助かった。やっと日常が戻ってくると思うとうれしい。節電を心掛けたい」と話した。
一方、函館、近郊でスーパーを展開する道南ラルズの担当者は「食肉の加工工場が停止している影響で、肉類の入荷が厳しい状況。日配品は10日以降入荷する予定だが、完全に元に戻るのはいつになるか分からない」と話している。(山田大輔、稲船優香)