「一生懸命走ることが、伴走者や応援してくれる人たちへの恩返しになる。最後まで気を緩めずに走破したい」―。和歌山県在住の全盲ランナー、野尻誠さん(44)は、2年ぶりに挑む函館マラソンに向け、力走を誓っている。
野尻さんは、函館視力障害センターに勤務していた2001年に函館ハーフマラソンに初挑戦。15年の大会まで毎年出場し、16年に始まったフルマラソンにも出場して完走した。
04年に「福知山マラソン」(京都府)で初めてフルマラソンを経験。「ハーフと比べると距離は倍になるが、苦しさは何倍にもなることを知った」と苦笑いしながらも、「その分完走した時の達成感も果てしなく、世界が変わったようにすら思えた」と語る。函館マラソンの印象については「たくさんの人からエールをもらえるのは、函館マラソンならでは。勇気づけられるし、走っているという実感も湧いてくる」と目を細める。
野尻さんの函館在住時からの知り合いで、市内に住む原田タミさん(79)は「彼が伴走者と並んで走る姿にはいつも感動している。今回も函館の街を楽しみながら駆け抜けてほしい」とエールを送った。(柳元貴成)