除雪が行き届かなかった今冬の函館市内では悪化した路面が渋滞を招き、多くの市民を悩ませてきた。特に通行量の多い幹線道路や交差点付近には、玉状の氷塊が連なる「そろばん道路」が発生。2日の降雪で再び圧雪路面となった3日朝にも「そろばん」が復活した場所も見られた。気温が上昇しても氷塊は解けにくく、しばらくは車の走行にも注意が必要だ。
積雪寒冷地におけるさまざまな開発技術の研究を進める北海道開発技術センター(札幌)の永田泰浩首席研究員(44)らは長年、そろばん道路について調べている。永田さんは「発生にはまだ分からないことが多いが、車の走行による振動と、タイヤの圧力がかかる部分と抜ける部分の差が関係している」と推察する。
これまでの研究や定点観測で、玉状の氷塊の発生の前兆として圧雪路面に波状のでこぼこが現れることや、気温が氷点下2~0度程度の雪が解けかかる状況下に発生しやすいことも分かったという。特に交差点付近で発生が目立つのは車が停止する際に路面に圧力がかかりやすいことが上げられるという。
玉状の氷塊は見た目は小さいが、タイヤを乗り上げると、接地面積が極端に小さくなるためグリップが効かず、車の制動にも大きな影響を与える。周りの雪の部分が解けても地面に氷の部分だけが残りやすく、完全に解けるか、整地用の重機で削り取る以外に対策はないという。融雪期の道路状況について、永田さんは「シャーベット状になったり、湿潤路面であったり、橋の上や日陰などは注意が必要」としている。(今井正一)