函館市要保護児童対策地域協議会(会長・堀田三千代市子ども未来部長)は2月28日、市総合保健センターで実務者会議を開いた。北海道子どもの虐待防止協会道南支部代表で、かみいそこどもクリニック(北斗市中央2)の渋谷好孝院長が「子どもの虐待と傷の見方」と題して講演し、関係者ら約90人が熱心に耳を傾けた。
渋谷院長は、カメラにより虐待が判明したケースや、祖母による虐待などさまざまな事例を交えながら解説。「愛情不足は脳の発達ばかりでなく、身体の発達にも関わることもある」とし、「よほどのことがない限り、(親子を)分離したものを元に戻してはいけない。子どもが死亡した場合、ほとんどがこのケース。命のほうが大切」と強調。さらに、虐待を受け発達障害のように見える子どもがいるとした上で「(子どもの)発達の環境が本当に保障されているのか、しっかり確かめなければならない」と助言した。
虐待による傷の見方については、全身の骨を診察することが基本とし、傷ができる度に受診病院を変えたり、診療時間の終了間際に受診したりすることは、虐待の可能性があることを伝えた。
また、尿で濡れたベッドで放置されたため発症したアンモニア皮膚炎、母親から平手で殴打された傷痕、熱したフライパンやたばこによるやけどなど、実際にあった画像を紹介し、虐待による外傷の特徴などを説明した。
同協議会は、乳幼児や児童の適切な保護を図るため2006年に設置し、行政や警察など42機関で構成している。(木村京子)