【森】町を代表する駅弁「いかめし」を製造するいかめし阿部商店(御幸町、今井俊治社長)は20日から、1941(昭和16)年の販売開始以来初の100円以上の値上げに踏み切る。世界的なイカの不漁に伴うもので、一つ650円から780円(税込み)で販売。一時は製造中止も考えられたが、76年間続く伝統の味を守り続ける道を選んだ。
いかめしは、イカの胴に混ぜ合わせたもち米とうるち米を入れて、しょうゆベースの特製タレで炊き上げた人気駅弁。オレンジ色のレトロなデザインのパッケージも目を引く。東京都の京王百貨店で毎年開かれる駅弁大会では、常に1位の人気ぶりで、今年も2週間で約3万個を売り上げた。
根強い人気を誇りながら、これまでも消費税の増税などに合わせて徐々に値上げしてきた。同社は海外産のイカを原料に使用しているが、世界的に海水温の変化などで不漁が続き、高値の仕入れ価格をいかめしの販売価格に吸収できない状況だ。同社の杉山栄二専務は「これだけ高くなって買ってもらえるか不安だが、お客さまが好きなこの味を守りたい」と述べる。
同社では1日から、真空パックしたレトルト商品も940円(税込み)に値上げしている。(蝦名達也)